第2回 建築系高校生設計コンペ 受賞作品発表
(一社)静岡県建築士事務所協会 中部支部支部長 高木一滋
この度 静岡県内の建築系高校生を対象にした設計コンペを開催致しました。これは、まだ社会に出る前の建築系高校生にも静岡県建築士事務所協会の存在・活動の様子を知って頂き、県内建築業の更なる活性化とレベルアップを図っていく事を目的としております。そして設計コンペのテーマは「○○のための理想の家」とし、○○は、自分の為でも家族の為でもペットの為・趣味の為等、任意で良いと致しました。応募締め切りを令和3年9月30日とさせて頂いた中で116点もの作品が提出され、その中で入賞作品全17点及び、惜しくも入賞を逃した15点を含み、32点をHPに掲載させて頂きました。
ひのきをめざさない あすなろのための理想の家
静岡県立天竜高等学校 3年 高田 ⻯希 鈴木 零生
講評
世界のアートとしても評価されている曼荼羅デザインを模った平面計画、前向きな発想と夢を持った『あすなろ兄弟』の成長をコンセプトにしているところに、独自性がある。平面計画も正に「曼荼羅」が「円」や「輪」を意味する通り、螺旋階段を中心に配置されており、その吹き抜け空間によって、家族の存在感がどこからでも感じ得ることができ、家族の繋がり(輪)を大切にした空間構成となっている。そうした一貫した分かりやすい設計コンセプトと、表現力豊かに図面化出来ているところに高い評価を得た。あすなろ兄弟の成長を見守りたい。
本好きのための理想の家
静岡県立科学技術高等学校 2年 竹内 悠菜
優秀賞 講評
本が大好きな夫婦であることが良く分かる、ほのぼのとした作品であり、コンセプトを基にした優しいレタッチでの作図が、見やすさと良い印象を与えている。また、コミュニティテラスにより、本の楽しさの伝承をかなえているところがプラスポイント。
吹き抜けの背の高い本棚は、本好きはワクワクするのではないでしょうか。また、本棚の間に窓を設けるといった、明かりを取り入れる工夫も評価が高い。
日建学院特別賞 講評
建築士 / 建築設計が人に夢を与える仕事であるという事を改めて思い出させてくれる素晴らしい作品
優れたデザイン性:姿の良い素敵な建築物は、その街の雰囲気まで変えます。そんな街づくりにも貢献できるデザイン性の高さを、本作品は備えていると感じる。コンセプトの再現性:「壁一面が本棚」は、本好きなら誰でも憧れるでしょう。大切なコレクションを眺める喜びも味わえるし、今後も迷わず好きな本を増やせそうである。本棚の設置場所:空間の内側ではなく外側に設けられているため、これだけの本があっても圧迫感を感じることなく解放的に過ごせるでしょう。また一堂に並ぶ本の背表紙を、美しい内装の一部として家に溶け込ませているのも素晴らしい点。 「読む」ということへの配慮:本は読んで初めて本になります。その点において、この作品は収集・収納だけでなく「読む」ことへの優れた配慮が施されている。2階の読書スペースだけでなく、天気の良い日に自然を感じながら読書できるスペースが設けられ、様々な読書ライフを楽しめるはず。その為に外部への動線もよく考慮されている。「読書の楽しさ・大切さを伝える」という観点:本の楽しさを知っている人は、それを他の人にも知ってほしいと思っているものです。本を通した地域との交流の場までもが設けてられている点が非常に素晴らしく、この設計にあたって、住む人の事を真剣に考えていることが伝わります。
車と寄り添うための家 〜隠れ家〜
静岡県立沼津工業高等学校 2年 芦沢 洋志
講評
シンプルで分かりやすい平面構成となっている。ガレージを単なる車庫と捕らえるのでなく、「プレールーム+ガレージ+前庭」と繋がりが有るところが良い。さらには「2階テラス」と連携させた一体的な利用が可能な空間であれば、多様な余暇を楽しむ時間が増えるのではないか。この作品は、我々設計事務所の人達の身近な夢でもある気がする。特に父親世代は、車・バイク好きが多く、予算に余裕があれば、当作品のような車を眺めて、いつでも整備できるガレージは夢である。図面構成が良く、設備的にも考慮されており、技術的にも現実味のある作品であることが高い評価を得た。
あなたのための理想の家 情けはひとのためならず
静岡県立天竜高等学校 2年 萩原 昴弥 田代 幸暉
講評
住宅というプラーベート空間にパブリック空間を取り入れた『あなた方の家』という発想が面白い。特に北側道路から森林公園を通り抜けられる小広場スペースは、そのイメージを強調する存在となっている。床をフローリングで表現されている部分がプラーベートエリアと見受けられるが、1階主寝室部分がパブリックエリアにあるのが気に掛かる。1階をパブリック、2階をプラーベートと完全にゾーニングし、ワークスタジオをセミパブリックにすれば、より多くの「あなた」を迎え入れられたのではないか。
全体的に表現力も発想も長けていて、実現したい計画であるところが高い評価を得た。
ステイホームのための理想の家
静岡県立島田工業高等学校 2年 鳥居 泰一
講評
昨今の時世に考慮しつつ、長く住める理想の家だと感じる。4人の家族構成ということから、ある程度の居室を設ける必要があるところを、風車をモチーフとした曲線で、いい意味での「見えない壁」が部屋を分ける工夫がなされている。子どもが生まれたことをきっかけに建てられることの多い一戸建ては、どうしても子ども中心の間取りになりがちですが、この作品ではライフスタイルの変化も見据えた、何世代にもわたって住めるような間取りとなっているところを評価したい。また、全方位からの採光が窮屈さを和らげ、中央に位置する吹き抜けが、離れて過ごしても家族のつながりを思わせる空間という印象を醸しだしている。ソーシャルディスタンスを保ちながら家族の絆を感じさせる、新しい住まいの提案になるところの評価が高い。
自分が考えるやすらぎの追求の為の理想の家
〜ヒト × ゴキブリ 〜
静岡県立富岳館高等学校 3年 井藤 一真
講評
ゴキブリの好む環境を取り入れようという発想が斬新であり、コンセプトの独創性を感じるが、その関係性には不透明感がある。
計画地の特性を生かし、コンセプトに合った計画がなされており、表現力・技術力においても良好な計画である。南北に風通しが良く、借景を利用出来る窓配置となっているところも評価が高い。ただ、家の主である主寝室が、1階車庫北側に配置されているのには疑問がのこる。プレゼンとしての図面構成が良く、模型をつくって表現しているところも評価したいところである。
俵磯 〜ジオパークを愛する人のための理想のいえ〜
静岡県立沼津工業高等学校 2年 後藤 峻也
春夏秋冬 〜木から季節を感じるための理想の家〜
静岡県立沼津工業高等学校 2年 山田 智紀
天竜区を愛する両親のための理想の家
静岡県立天⻯高等学校 3年 石川 晋山 宮城 柚稀杜
「おうち○○」を楽しむための理想の家
静岡県立天⻯高等学校 3年 佐藤 真樹 鈴木 陽登
活字にふれるための理想の家
静岡県立科学技術高等学校 3年 鈴木 星
in the calm forest
静岡県立科学技術高等学校 3年 鈴木 紗来
えん 〜食のための理想の家〜
静岡県立科学技術高等学校 3年 松島 匡寛
健康のための理想の家
〜畑で採れた新鮮な野菜と木漏れ日に囲まれて〜
静岡県立科学技術高等学校 2年 小澤 櫻子
ゆらぎと暮らす
〜ワーク・ライフ・バランスのための理想の家〜
静岡県立科学技術高等学校 2年 山下 温葉
生物多様性のための家
静岡県立浜松工業高等学校 3年 谷口 健心
棚田(たんだ) 共存共栄のための理想の家
静岡県立沼津工業高等学校 2年 髙木 宙
アスレチック 〜良い成長を与えるための理想の家〜
静岡県立沼津工業高等学校 2年 村木 陽
MACCHA BREAK 〜抹茶好きの人のための家〜
静岡県立科学技術高等学校 3年 市川 心晶
大正浪漫
静岡県立科学技術高等学校 3年 遠藤 春華
コロガルハウス
静岡県立科学技術高等学校 3年 大石 優羽
From one sound
静岡県立科学技術高等学校 3年 岡田 大輝
坂で暮らす 〜時のうつろいを感じる理想の家〜
静岡県立科学技術高等学校 3年 沖山 暖和
IDOL I DON’T WHAT I DO.
静岡県立科学技術高等学校 3年 奥永 莉世
景色を見る。写真家のための家
静岡県立科学技術高等学校 3年 神谷 咲葵
雨が続く毎日
静岡県立科学技術高等学校 3年 佐竹 真由子
HOUSE OF CALM
〜スローライフに憧れた人のための家〜
静岡県立科学技術高等学校 3年 藤浪 陽弥
海の見えるサーファーのための家
静岡県立科学技術高等学校 3年 宮本 萌那
この町の目印 人と人をつなぐための理想の家
静岡県立科学技術高等学校 3年 吉田 ひかり
自然と共存するための家
静岡県立科学技術高等学校 2年 宮本 月湖
くつろぎのための理想の家
静岡県立浜松工業高等学校 1年 藤盛 心太